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八郷には変な人が多いと思っていたが、また変な人に出会ってしまった。
ログハウスを2棟セルフビルドし住んでいるSさん。
そのうちの一棟が、まさしく「屋根の上に屋根」がかかっている。
その個性的な外観は遠目でも光っている。
改修への道 ~③「屋根の上に屋根」のSさん宅~_c0177665_15594482.jpg

すごい。
屋根だけではない。自分で組み建てたログハウス、その周りに「コロナでヒマだったから作った」という温室。
ぐるりと家を一周できるテラス。室内もいたるところに工作の跡。隠し扉の向こうにトイレ。
敷地内に点在する大きなコンテナは、自分で窓を付けたり、入口を切り抜いてシャッターを付けたりしてある。
全体が巨大な遊び場のような雰囲気で、楽しんで建てたり空間を作っているのがビシバシ伝わってきて、わくわくしてしまった。

「屋根の上に屋根」は、とにかく太陽光をさえぎるのでとてもいいらしい。
屋根の重量を分散させるためと、風で飛ばないよう、何か所も柱で支えてあった。
ログハウスの高い断熱性と、随所に設けた換気扇と窓との効果的な使用、そしてこの二重屋根のおかげで、去年は1回しかエアコンを使わなかったという。
その1回も、数日家を空けた後に部屋にこもった熱気をしのぐためだったとか。
暖かさも良好で、ログハウスは木の厚みがあるので断熱材を入れずとも断熱効果があるらしい。
我々が訪れたのは1月の寒い日だったが、家の中はとても暖かく快適だった。
断熱の威力とログハウスの可能性を感じた。
屋根の上に屋根の工法もよく理解できた。
改修への道 ~③「屋根の上に屋根」のSさん宅~_c0177665_16000644.jpg
「ぜひ農場にも来て、改修のアイディアをください」
と言ったら、
「まずキミたちがどうしたいかが大事。絵一枚でもいいから描くの。そうしたらそれをどうすれば実現できるかのお手伝いはできるよ」
とのこと。

自分たちがどうしたいか…まだ見えないなあ。
改修をテーマにスタッフミーティング、運営委員会も重ねているところ。皆で相談できるのは良いと思う。
引き続き動いてみよう!
(2024.1 かおり)

# by kurashilabo | 2024-01-23 16:40 | 母屋改修プロジェクト(2023.11~)

困った我々は農場を建設した一人である永田まさゆきさん、通称「ながたまさん」に連絡を取った。

すると、なんとすぐに来てくれることになった!
ながたまさんは北海道で現役の建築家として活動している。
農場(当時は「たまごの会」)建設当時は建築学部の学生で、当時の教授と数人の仲間と共に農場に住みこみながら建物を設計し材を集め、次々に母屋や他の棟を建てていったとのこと。
楽しかっただろうなあ~。(詳しくは書籍『農の力、場の力、人の力』参照。)
改修への道 ~②ながたまさん編~_c0177665_16063448.jpg
でも農場の建物は「若かったというか、ずいぶん実験的なこともやって、今振り返ると恥ずかしい」らしい(笑)
でも50年ものあいだ数千人を超えるであろう滞在者を迎え、様々なドラマを見守り、個性的な人材を多数世に送り出し、何よりたくさんの人に愛されてきた素晴らしい建物だと思いますよ、ながたまさん。

さて到着後挨拶もそこそこに建物のチェックと、お話をスタッフ全員で聞いた。
建築当時のエピソード。どういう風に建てていったか。今の建物の状態を見てどう思うか。そもそも建物とはなにか、建物の寿命ってどう考えたらいいのか、業者さんと組んでDIYしたい時の注意点…等。
濃くてオモシロい時間となった。
改修への道 ~②ながたまさん編~_c0177665_16381895.jpg
おそらく事前に考えておいてくれたのだろう、改修の提案もしてくださった。
なんとそれは「屋根の上に屋根をもう一枚設置する」「壁の外側にもう一枚壁を張る」本人曰く「ズボラ工法」。
正攻法で直すとなると多額の費用がかかるので、ならばダメなところはそのままに、上に大きな屋根を乗せちゃえ!壁はガルバリウム鋼板という比較的安価でDIYもしやすい波板で全面を覆っちゃえ!というわけらしい。
斬新すぎる。
しかし、具体的に工法を聞いていくとなるほどと感心する点も多かった。さすがである。

個人的(筆者かおり)には、ながたまさんの
「建物は流動的でよい、使っている人に合わせて変化していくのがよくて、状況に合わせて作り変えてよい」
というお話しがとても印象に残った。
人が建物に合わせるのではなく、人の暮らしに建物を合わせる。
建物も生きものみたいに考えていいんだと思った。
ここでどういう過ごし方をしたいのか、どういう農場にしたいのか、そういうことも考えていく必要がありそうだなと感じた。

さて建物診断をしてもらった渡辺さんにお願いし、概算見積もりを作っていただくことにした。
同時に自分たちでも少し勉強したいねということになり、セルフビルドしているお宅が八郷にはたくさんあるので、オモシロい家を見に行こうとなった。
するとやっちゃんが「そういえばこの近くに、屋根の上に屋根をかけてる家がありますよね」と言う。
イェジンさんが「ああ、あそこ?その人知り合いだよ」とのこと。奇遇!
早速連絡を取り見学に伺わせてもらうことにした。
(2023.12 かおり)

# by kurashilabo | 2023-12-19 16:38 | 母屋改修プロジェクト(2023.11~)

というわけで他のスタッフも
「そういえば農場ボロいかもしれない…」
と思い始め(暮らしていると慣れてしまうものですね)、では建物の現状をまずはちゃんと知ろう、ということで、プロの方に建物の”健康診断”をしてもらうことにした。

お願いしたのは地元の工務店、渡辺木材㈱の渡辺さん。
改修への道 ~①建物健康診断編~_c0177665_15410315.jpg
「フォレストブレス」というブランド名で、茨城県を中心に自然素材を使った家づくりを手掛けている。
農場のすぐ近くに事務所があり、以前から顔なじみであることもありお願いした。

23年11月30日、大工の方と二人で来場。
半日ほどで外側も内部もじっくり目視で確認していただいた。
資料をめくって農場の歴史の説明や古い見取り図(ぽいもの)も見てもらう。
「いやあ~、、、すごいですね、、、」
渡辺さん、言葉が出てこない。(笑)
「相当なエネルギーでもって作ったのを感じますね」
「すごく複雑な構造で、思い切った建築というか、実験的というか、いやあ~、、、どうしたもんかなあ、、、」

さて、気になる建物診断の結果は後日送られてきた。
「・基礎は問題なさそうです。
 ・屋根も案外まだしっかりしてる。でも軒先の傷みが激しいですね。
 ・屋根の明り取りのところは隙間があり、雨漏りの原因になっています。
 ・窓の桟・壁の劣化・換気扇の開口部取り合いからの雨水の侵入の形跡もある。
 ただし雨の侵入経路は剥がしてみないとわかりません。」
だいたいこんなようなことが説明とともに書いてあった。
最新の平面見取り図もいただいた。

基礎に問題がなさそうなのは一安心!
しかし修理箇所が多い。範囲も広い。そもそもいくらかかりそうなのかも全然わからない。
さて、どこから手をつけたらいいんだろう?
問題がわかったのはいいが、規模の大きさに途方にくれてしまった。
(2023.12 かおり)

# by kurashilabo | 2023-12-05 15:40 | 母屋改修プロジェクト(2023.11~)

改修への道 ~プロローグ~_c0177665_16012648.jpg
「農場がもうボロボロだよ~」
全てはスタッフ・イェジンさんのこの一言で始まった。

イェジンさんは来場者の受け入れを、宿泊対応含め、かれこれ10年以上担当している。
そのため、農場(母屋)の各部屋の状態をよく知っているのだが、ここ1年は特に憂いていた。
「窓がガタガタで開かないよ~」
「隙間風がひどい」
「●●で雨漏りがする」
「脱衣所が寒い」
etc...

「50周年を機に改修しようよ!」

というわけで改修が具体的に動き出した。
(2023.11 かおり)

# by kurashilabo | 2023-11-15 15:13 | 母屋改修プロジェクト(2023.11~)

東京で仕事をしていると、まだまだ大量生産大量消費がメインです。
環境への配慮を本気で考えている人にはあまり出会えません。
忙しさのあまり子供に1人でご飯を食べさせて罪悪感を感じる日々です。
そんな環境の中で私は毎日たくさんの我慢しながら生活しています。
自分をだましながら、この我慢を何十年も積み重ねて、自分の些細な行動が、次の世代の社会に与える影響を考えると怖いです。

やさと農場にはほとんど全ての答えがあり、皆さんが同じ方向に向かって実践されていました。
こんな暮らしができたら、未来は良くなると思います。

もっとたくさんの人にこの場所を伝えて、ほんとに大事なものは何かを感じて欲しい。
そして、到着した瞬間から、前から知ってたみたいな不思議な感覚、するりと気持ちよく受け入れてくれて初めてなのに快適に過ごすことができました。
さりげなく、深いい話をしてくれたり。
社会、人生、未来について深く考えさせられる時間でした。
普段は味わえない刺激がたくさんありました。
やさと農場の皆さんとお話しできたことが何より楽しかったです。
優しく迎えてくれたことに感謝です。

やさと農場での体験を今の生活にも落とし込んでいきます。そして、よりよい未来のために自分でできることを探して行動していきたいという勇気をもらいました。(みゆきさん/東京在住)


# by kurashilabo | 2022-06-20 10:11 | レポート(報告)