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鶏について

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■心得!
 鶏たちはいやいや人と一緒にいるのではありません。無論、人は卵や肉が欲しくて「飼う」訳ですが、鶏にしてみればそれは食べ物と安全と生殖を保障されることであり、本来それらは彼らにとっても不幸なことではありません。彼らもまた人と共にいることを選択して野鶏からニワトリになってきたのです。彼らが主体として自らの生存プログラムを全うすることができること。それを限られた条件の中ではあれ保障することによって、「人⇔鶏」の関係は格段に豊かで面白いものになるはずです。
 「養鶏業」は家畜とか経済動物という呼び方をすることによって「飼う」という行為を「人→鶏」の一方通行にしてしまいました。市場経済の下で「工場化」した近代化養鶏はその極北です。それは鶏にとってだけでなく、人にとっても大きな不幸であったし、「暮らし」を貧しいものにしてきました。私たちは鶏をニワトリとしてまるごと暮らしの平面に取り戻したいと考えます。鶏が不幸のままで人が幸せになることはありません。鶏が卵や肉だけでなく、コンパニオンアニマルとして、その美しい姿や声や振る舞いで人に語りかけてくる風景をメルヘンの世界のことだけにしてはなりません。


■飼い方
 鶏を飼うのに特別なことは何もなく、日々の繰り返しの作業を確実にやることが大事です。朝の水やりと観察、まき餌と採卵、夕方の餌やりと緑餌(牧草・雑草)、採卵、餌作り、卵詰め等々です。ルーティンワークは人の暮らしと鶏の暮らしの接点ですから、あえていえば鶏の動きのリズム、生活のリズムに寄り添っていくことが大事です。人はそれによって鶏の様子をつかみ、鶏にとってそれは基本的な環境です。
 鶏は一群100羽程度でヒナの時からオールアウト(卵を産まなった段階でお肉にする)になるまで同じ部屋で生活します。群のあり方と部屋のあり方は彼らの世界のすべてです。
 一群を何羽にするか、雄を入れるか、坪羽数は何羽にするか(部屋の広さ)、床の状態(組成、湿度、温度等)、通風と採光…、これらは彼らの生活基本条件(インフラ)ですから夢おろそかには出来ません。


■餌の考え方
 餌は鶏の健康だけでなく、卵質や肉質を決める最も重要な要件です。鶏でも豚でも同じですが、餌は人の暮らしからでる残り物というのが基本的考え方です。家庭でいえば残飯類であり、もっと広くとればクズ小麦や大麦、米ぬか、給食残飯、オカラ等々ということになります。そういうものをその食性の広さ(何でもよく食べる)と強靭な胃腸でもって良質のタンパク質食品に変えるというのが鶏や豚の家畜としての正しい位置です。

●現在は次の三本柱でまかなっています。
・給食残飯(ごはん)とオカラと米ぬかを合わせて発酵させたもの。
・自家配合飼料。クズ小麦、大麦、米ぬか、魚粉、海藻粉、貝化石(ミネラル)等々を混合したもの。
・緑餌。牧草を作り、また季節によっては雑草を刈り、1日1羽100gを目安に与えます。
・その他。給食残飯のおかず、養豚からでるラードなどを適宜与えます。


■品種
 昭和30年代以降、養鶏は採卵用と肉用(ブロイラー)に品種も飼い方も完全に分かれましたが、やさと農場では卵をとったあとで、あるいは途中で肉としても利用するという考え方で、いわゆる卵肉兼用種を飼っています。名古屋コーチン、横斑プリマス(純系でない)など昭和30年代まで一般に飼われていた古典的品種群です。その他採卵鶏としてゴトー社の「もみじ」という銘柄の鶏も飼っています。


■育雛
 ここでは初生ビナ(産まれて1日)をふ化場から購入し育てます。育雛は子育てと同じです。保護するところは保護、鍛えるところは鍛えて、丈夫な胃腸をもった、ここの餌と飼い方にあった鶏を作ります。基本的には山岸式養鶏の育雛法に従っています。その特徴は
・玄米で餌付けし、初期からススキなどの粗ごうな緑餌を与えて、粗飼料に耐える丈夫な胃腸を作る。
・幼雛時には十分なタンパクを与えて健全な成長を促すが、大雛時にはタンパク質を抑え粗飼料化し、緑餌を多給して性成熟を抑制して丈夫で長持ちする体を作る。
普通の養鶏では産み出すまでに4~5ヶ月ですが、ここでは5~6ヶ月かかります(品種にもよる)。ヒヨコは見た目よりもずっと丈夫で生きる力を備えています。しかし代謝能力が高く体が小さい分、大変脆弱な面もあわせて持っています。そこを見極めることが大事です。


■防疫
基本的な考え方は次のようなものです。
・密飼いはしない。開放鶏舎であること。
・ワクチンは定められたもの(ニューカッスル、ケイトウ等)を初期にやる以外はやりません。抗生物質等も恒常的に餌に入れる等はしません。
・鶏舎に入るのは限られた人間とし、特に他の養鶏関係者が近づくことは避けます。
・育雛時は神経を使います。鶏舎をきれいに掃除し(前の鶏糞を残さない)、床に籾殻と稲ワラを厚く敷いてコクシジウム等の常在の病気を防ぎます。また育雛舎に入る時は靴を履き替え、他の部屋の鶏糞を持ち込まないようにします。このように注意しても病気は出るときは出るし、一定の頻度で死ぬ鶏も出ます。大事なことは病気にはなるが死ぬことはない、あるいは数羽死んでも多数がバタバタいくことがないというレベルに健康度と基本的使用環境を維持することです。病原菌を排除することはできません。一つの菌が爆発的に増えることがないよう鶏を含めた鶏舎内生態系をうまくコントロールすることを心がけています。


■放し飼い
 約800羽の出荷用とは別に、10羽前後を豚舎周辺に放し飼いにしています。またチャボや烏骨鶏などもユル~く飼っています。あえていえば観賞用ないし自給用ですが、彼らを見ながら遠い昔、人と鶏が同じ生活面で暮らしていた時代、あるいは野鶏と人の出会いのシーンを想像することは楽しいことです。出荷用の800羽は山岸養鶏法といえども十分に管理的で鶏は限られた姿しか人にはみせません。放し飼いの鶏たちはその気ままな生活ぶりで養鶏とは卵と肉をとることばかりではないのだ、人と鶏は友達なんだということを教えてくれます。


■購入方法
 やさと農場に直接ご来場いただくか、電話・ファックス・メールでご注文いただいて、発送する形になります。ご希望の種類と数量をお伝えください。野菜セットに同梱することもできます。

赤玉卵       400円/10個   240円/6個

*夏場はニワトリがバテて卵量が減るのでご希望に添えない場合もございます。ご了承ください。
by kurashilabo | 2008-01-01 01:00 |  L 農場見学