2008年 01月 01日
豚について
■こだわり
やさと農場の養豚の規模は、養豚業として営むにはあまりに小さいサイズです。種豚、母豚の他に、肥育豚はわずか40頭程度しかいません。現在の一般的な養豚は、経済効率だけに重点が置かれています。その結果、成長に時間のかかる品種は淘汰され、狭い空間にたくさんの豚を閉じ込める飼育環境が作られ、成長を促進する飼料が改良されてきました。
やさと農場の養豚は経済的には非効率であるものの、かつてあった本来の良さを残しています。それは輸入の穀物飼料への依存ではく、地域で不要な食品残渣を利用することであり、そのような粗飼料に耐えて、日本の風土に適した品種を飼育し、健康的な空間で飼育し、糞尿を肥やしに買えて生活の中に循環させることです。
やさと農場の養豚のこだわりを上げるとすれば、経済効率化の波に乗らず、本来的な養豚を行っているということでしょう。
■豚の心得
きれいにスライスされて、パッケージされているお肉を食べていることで、無意識に「生産から消費するまでの連続性」を分け隔ててしまっていることが多くあります。もしかすると無意識に考えないようにしていることかもしれません。
お肉を食べること、それは一つの大切な命を頂くということです。そのことに感謝することはとっても大切なこと。意識を持ってそのお肉が食卓に上がるまでの過程に目を向けてみませんか?もしかすると、そのお肉はぎゅうぎゅう詰めの豚舎に押しこまれ、生き物としてではなく、単なる物として飼われた豚かもしれません。どうせ殺してしまうのだからどのように飼っても構わないと思うかどうか。たとえお肉になってしまう家畜だとしても、それまでの期間を大事に、生き物としての尊厳を持って育ててあげたいと考えます。
■飼い方
毎日朝夕の2回、エサと水換えをしています。朝はエサを食べている間に豚房の掃除をし、ワラやおがくずなどで快適なベットを作ります。一般的な養豚では不断給餌をして、かなり省力していますが、農場では大規模ではないので、一部屋一部屋様子を見ながら丁寧に飼うことができます。出産は年に5~6回程度の予定で種付けをしていますが、生き物相手なのでなかなか予定通りには行きません。1回に生まれる子豚が10頭前後なので、小さいうちは1部屋で飼い、成長と頭数に応じて二部屋に分けることもあります。やさと農場の豚房では8頭以内での肥育が良いと考えています。
■品種
農場では昔からずっと中ヨークシャーと、イングリッシュバークシャーを飼育してきました。粗飼料でもよく育ち、丈夫でおとなしく、日本の風土に馴染んでいるというのが選ばれた理由です。
経済高度成長の開始前には、日本の豚の9割が中ヨークであり、残りの1割がイングリッシュバークシャーだったものの、近代養豚の開始と発展と共に瞬く間に姿を消していったようです。現在では、中ヨークシャーは巷で「幻の豚」と呼ばれるくらいに希少で、全国にも数百頭程度しか残っていません。バークシャーも、黒豚として高級な肉として市場にでているようではありますが、ほとんどが大型品種のアメリカンバークであり、イングリッシュバークはごく僅かしか残っていないそうです。どちらも成長が遅く、一般的な大型品種が6−7ヶ月で出荷出来るのに比べて、4−5ヶ月余計に飼育時間を要します。しかし、その分味が凝縮し、肉質の評価は今でも変わらず最上級にランクします。
■エサ/配合飼料
やさと農場の配合飼料は大麦を中心に、米ぬか、海藻粉、塩を加えて自家配合しています。給食残飯などの濃厚な飼料を利用しているので、それらで必要なタンパクは賄えていると判断していますが、給食残飯の手に入らない夏休みなどは、魚粉などを加えて調整します。
輸入穀物に対してはさまざまな理由から利用を控えているため、大麦は国内産(茨城県産)のクズ大麦を入手しています。米ぬかは近くの味噌屋さんや、米屋さんから購入します。豚にしてみれば配合飼料などの粉っぽいエサよりもオカラや給食残飯のほうが嬉しそうに食べます。
■エサ/オカラ
おからは近くの豆腐屋さんから貰っています。卯の花としても販売されますが、それはほんのごく僅かで、ほとんどが産業廃棄物として捨てられてしまいます。人が食べず、ゴミにしてしまうには勿体ない中間物の有効利用です。おからの他に、端が崩れてしまい商品にならない豆腐も頂いてきます。エサの半分程度をオカラで賄っています。
■エサ/給食残飯
地元の小中学の給食を賄う給食センターから毎日受け取ります。栄養士による献立ですから栄養バランスも良いはずです。曜日によってパンの日やパスタ、ご飯と毎日バラエティに富んでいるので、豚たちは楽しみに待っていますが、粗飼料に耐える豚には多少カロリーの高い気もしています。豚の健康状態をみながら給仕する量を調整しています。
■エサ/緑餌
牛やヤギなどとは違い豚は反芻動物ではありませんが、よく草を食べます。青草には、様々な微量要素が含まれるのでしょう。その効果は未知ではありますが、農場では青草をよく食べさせることが、健康な養豚の秘訣であると考えます。大規模養豚ではほとんど与えませんが、やさと農場では毎日2回のエサやりのうち少なくとも一度は青草を与えています。雑草や、麦などの牧草を与えますが、冬期は、野菜の外葉や芋づるなども大切に利用します。また、草を食べさせることで肉の香りが良くなる効果もあると考えています。
■豚舎
30年前に建てられた木造の建物です。広い豚房にのびのびと暮らしています。明るく風通しの良い快適な豚舎です。種豚、母豚は別棟のおがくず豚舎で飼っています。厚く敷いたおがくずが糞尿と混じり、悪臭を絶ってくれます。
■購入方法
購入を希望する方は会員になるだけです。
(正会員12000円/年、協力会員0円)
やさと農場の豚肉は一般市場での販売を行っておらず、会員制をとっています。毎月(ほとんど第4土曜日)2−3頭を出荷していますが、農場で枝肉をブロックに切り分け、希望量に応じてお届けします。頭数が少ないため必ずしも希望の部位があるとは限りませんが、お気軽にご相談ください。
●取り扱い部位(精肉)
肩/肩ロース/ロース/バラ/ヒレ/モモ/スネ
●協力会員にはどなたでも無料でなっていただけます。
■価格
精肉 2200円/kg(500gから注文可)
ひき肉 450円/1パック(300g)
赤モツ 500円/1セット(300g)
白モツ 500円/1セット(500g)
*その他、普通には手に入らない頭、豚足なども用意できます。
by kurashilabo
| 2008-01-01 00:10
| 農場見学