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僕はこれからもうんざりする道を自ら選び続けることになる(0725週報より)

【イバの雑感スペシャル】2020/07/25 週報より

「僕はこれからもうんざりする道を自ら選び続けることになる」

▼コロナが第2波と呼ぶべき状況になっている。世の中では、「検査数が増えているから大丈夫」という意見がある。確かに、何人を検査したのかの“分母”を見ないと、分子である検査陽性者数(以下:陽性者数と略)だけ見ていては正確な事は言えない。第1波で最大だったのは、4/10の708人。この時の検査数は8365人なので、割合で言うと8.5%。一方、翌々日、4/12では陽性者数だけ見ると571人と、波を超えたような印象があるが、分母が4445人なので12.8%となり、実際には4/10よりも悪い。陽性者数の数字だけを追うとミスリードしてしまうのは確かだ。(数値の出典は東洋経済オンラインより)
▼それで言うと、直近では、7/17が588人、7/18が655人、7/19が501人と、人数は多いが、検査数が1.5倍程度増えているため、それぞれ、4.4%、5.9%、8.2%と第1波よりもインパクトが小さい。しかし、そうは言っても陽性者が増えているという事実には変わりなく、また政府が第1波の時のように緊急事態宣言を出すなどの対応をしていない現在、この数字が膨れ上がるのは必須である。
▼今の政府の無能さは前にも書いたが、ことコロナに限っていっても、一斉休校問題、マスク問題、GoToキャンペーン問題、その他諸々、上げればきりがなく、今更何も期待することはないが、そうは言っても「一体あんたら何やってんだ!?」と怒りたくはなる。
▼それはさておき今、世の中に多く流れているムードは、おそらくこういうものではないか。
①思ったより重症化率・死亡率が低いよね
②それなら経済を回していこう(自殺の問題も大きい)
③自粛も何が正解か分からない状況もうんざり
これらは第1波の経験から分かった(思った)ことでもあるだろう。
①②に関して、東洋経済オンライン(7/17)『新型コロナ、日本で重症化率・死亡率が低いワケ』で、 国際医療福祉大学大学院教授の高橋泰は、
「・新型コロナウイルスは、初期から中盤までは、暴露力(体内に入り込む力)は強いが、伝染力と毒性は弱く、かかっても多くの場合は無症状か風邪の症状程度で終わるおとなしいウイルスである。しかし、1万~2.5万人に1人程度という非常に低い確率ではあるが、サイトカイン・ストームや血栓形成という状況を引き起こし、肺を中心に多臓器の重篤な障害により、高齢者を中心に罹患者を死に至らせてしまう。
・日本ではこれまでのところ、人口10万人に対し0.8人が亡くなっている。われわれは自然免疫の存在を重視しており、それを前提としたシミュレーションでは、新型コロナウイルスが現状の性格を維持する限り、どんなに広がっても10万人中3人以上、つまり全国で3800人以上死ぬことはなさそうだというのが、結論の一つだ。
・人口10万人に対して16人、全国で2万人強が自殺で亡くなっている。過去に景気が悪化したときは3万人を超えて10万人当たり24人になった。そうであれば、10万人対比で見て、新型コロナによって2人亡くなるのを防ぐために、景気悪化で8人の死者を増やすのかということになる。対策のメリットとデメリットのバランスを考えないといけないのではないか。
・30歳未満では重症化リスクは限りなくゼロに近い。30~59歳も通常の経済活動を行ってよいはずだ。罹患した場合は症状に応じて自宅待機などを行い、集団発生すれば職場の閉鎖をすればよい。70歳以上の高齢者は流行している間は隔離的な生活を維持せざるをえないだろう。何度も言うが、感染リスクはある。しかし、2%未満の重症化リスクを減らせばいい。」(大幅に省略)(*下線は最後にコメント)
と述べており、重症化率が低い理由と経済を回していく重要性を説いている。
▼③(自粛はうんざり)に関しては、僕自身も全く同感だ。農場で人の受け入れを出来ないことの欠乏感は大きい。となれば、高橋教授の言うように、そして世の中の雰囲気と同じように社会活動を再開していけば良いのだろうか。
▼そもそも、コロナに対する危惧・警戒心の根拠となったものはなんだったかを改めて思い出してみると、
㋑ワクチン、治療薬がない
㋺病院が逼迫すると大変なことになる

㋩重症化・死亡するリスクが高いかもしれない
だったのではないかと思う。
▼最後の㋩に関しては上述の高橋教授の意見をひとまず参考にしてみるとして、㋑については、TBSラジオsession22 (7/13)医師・峰宗太郎氏の意見では、「薬やワクチンというのは淡々と開発が進んでいる状況。薬については、今のところある程度効果があるものとしてレムデシビルがある。デキサメタゾンを使うと重症の方の予後の改善がみられるということが分かってきている。」ということで、つまりはまだ決定的な治療薬やワクチンが開発されている状況にはない。
㋺に関しては、東京都が7/22に開いたモニタリング会議において、「とても逼迫していないなどとは申し上げられない」「医療関係者をはじめ様々な人の苦労で何とか踏ん張っている状況」と杏林大病院の山口芳裕・高度救命救急センター長が述べたと、朝日新聞デジタル(7/22)が報じており、その危惧は今も続いている。
▼㋑と㋺がどちらかといえば悲観的な意見であるのに対して、高橋教授の㋩はどちらかといえば楽観的に思える。僕はただの一般ピープルなので、専門的なことは何も分からないが、今の勢いで陽性者が増え続けて、病院が全く対応できない状況になれば重傷者が増えるのではないかと思ったりもする。僕が勝手に便宜上、第1波と呼ぶ3/28-5/9の期間で陽性者数は14,500人であり、(亡くなられた方を数値で数えるのは非常に憚られるが)亡くなられる方はそれより20日程度時期が遅れて4/15-5/29で777人である。そして第2波の影響はこの後から出てくる。今の政府の無策で人が自由に動いて(8月にはお盆もある)、第1波よりも感染が広がっていけば、医療崩壊が起きるのではないか。そうなれば3800人などでは収まらないのではないか、と思ったりもする。
▼また、高橋教授自身が「新型コロナウイルスが現状の性格を維持する限り」と述べているように、恐ろしいのは変異することだろう。極端な話、コロナが仮にマーズのような致死率の高いウィルスになると思うとさすがに恐ろしい。もちろん、変異しない可能性は十分あるし、してもいない変異の話をしても笑われてしまうだけだが。
▼コロナをどう捉え、どう考えればよいのか。以前にも週報で書いた五箇公一氏は、朝日新聞デジタル7/11の記事『生態学者 コロナとの共生、異を唱える訳は』で、
「・新型コロナは知識が追いつかない間に、世界に広がってしまった。感染しても発症しない人が大勢いて、人間社会に残っていれば、高齢者や持病のある人は重篤化する危険にずっとさらされ続けなければならない。インフルエンザなどに比べて圧倒的にコントロールできていないので、排除という作戦を取らざるを得ない。
・最近は『ウィズコロナ』『コロナとの共生』と言うが、経済活動を復活させるため、やむを得ず言っているにすぎない。気にせず普段通りやりましょう、というムードでは困る。
・生きものが身近にいっぱいいるのは、人間にとって必ずしもいいことではありません。食料をとるものも、病気を起こすものもいる。少なくとも家や街の中からは、排除して生きている。自分のすみかを守る意味で、生物学的には当然の反応です。
・たとえコロナに勝っても、開発や破壊をベースとする経済の構造を変えないと、もっとすごい病原菌やウィルスが出てくる恐れがある。いまある資源をいかに循環させて共有していくか、人間社会の変容やパラダイム転換こそが本当の課題です。」(大幅に省略)と述べている。
▼僕は、基本的に五箇氏の意見に近い。ただ、五箇氏の主張は短期的な対応について言っている訳ではなく、対策にも時間がかかる。短期的には高橋教授の言うように過剰な引き締めは必要ないという精神的な余裕を持ちながら、もう一方で、未知のウィルスであり、今現在も今後の動きにも注意し、経済活動・社会生活を行っていく、というのがとりあえず僕が思うところだ。ということはつまり、はっきりしたことは言えず、それ故これからもこのうんざりする道を選び続けなければならない、ということになる。
※下線は僕がつけたもの。「集団感染すれば職場の閉鎖をすれば良い。」は社会の対策としては正しいが、現場で働く身としては、そう簡単に言わないで欲しい、というのもある。


by kurashilabo | 2020-07-26 14:38 | 週報からの抜粋