2018年 11月 12日
【会員さんインタビュー】 早川幸子さん
東京から八郷に移住された早川さん。「依存しない暮らし方」に取り組んでいる視点から、田舎で暮らすことの面白い話を伺えました。
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プロフィール
お名前:早川幸子(はやかわゆきこ)さん
農場では“ゆっこさん”と呼ばれています
住んでいる場所:八郷
農場歴:4年ぐらい
普段していること:フリーライター(主に社会保障や医療がテーマ)、5アンペア生活
好きな野菜:トマト
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Q. 早川さんは、電気の契約電流を最低の5アンペアにして生活していらっしゃいます。節約目的でもなかなかそこまでは思い切り難い電流量です。なぜ5アンペア生活をしようと思ったのですか?
A. 東日本大震災での経験がきっかけでした。そのころは東京に住んでいて、身の回りからモノが無くなってしまったんです。そのとき都市の人はいろんなモノを地方に依存しているんだなと実感しました。果たして自分はこのまま依存する生活を続けてもいいのかと考え、依存しない生き方を目指すようになりました。使う電気を少なくしたのはその一つです。
このころから移住も考え始めました。島根県まで見に行って探したりしましたね。島根って半農半Xを推進しようとしてるんですよ。見に行ってみたらすごく良いところだったんだけれど、さすがにちょっと遠かった。実家というか今まで自分が暮らしてきたところとは全く無縁の地域ですし、向こうじゃライターの仕事を続けるのも難しい。何より雪国で車を運転するのは私は無理だなって思いました。
そうやっていろいろ見に行って探しているときに八郷に出会いました。来たときに「ああ、もうここにしよう!」って思いました。そこから家探しなどいろいろ相談して2016年の10月に引っ越してきました。
Q. 実際に八郷に暮らしてみて感じた、都会との違いは?
A. 地域のつきあいは言葉で表せない違いを感じました。八郷に来て間もない頃に地域の同じ班の方に不幸があって、急に「赤熨斗に二千円包んで持ってきて」と言われ、「何言われてんのかわかんない!」って慌てました。イェジンに聞いたら農場はそういう近所づきあいしてないから分からないと言われ、(すでに八郷で地域づきあいができていた)イバくんに相談して乗り切りました。
農場って実は田舎のいいとこどりをしていて、農場を見ているだけだと自然が素敵とか、食べ物作ってるとか、田舎の印象はそれぐらいでしたけど、けっこう面倒な付き合いがあるんだと実感しました。でもそれを凌駕するぐらい筑波山は美しいですし、隣の畑のおじさんが野菜をくれたり、班に入りやすいように声かけてくれたり、面倒以上にいろいろ援けてもらえることもあります。
私、5A生活だからエアコンを使わないんですけど、八郷は昼間暑くても、夜になると、スーッと涼しくなるんです。だから、東京と違って夜に暑くて寝苦しいことは無いですね。昼のあっついときは図書館行ったりすれば何とかなりますし。冬は全然何も困らないですね。暖房は石油ストーブつけてついでに煮込み料理も作れる。ちなみに電気代は・・・。冬は、一人暮らしで500~600円くらい。夏はわりとかかって800円ぐらいにはなっちゃいますね。(編集コメント:「なっちゃう」って、十分安いですよ)
Q. 早川さんにとって農場はどのようなところですか?
A. なんかもう、自分の生活に農場があるのが当たり前すぎて改めて聞かれると…(笑)。農場があったから八郷に来ようと思ったのはありますね。地域というか移住者コミュニティの入口になってくれています。田舎への移住では、つながりが何も無いところにいきなり入っていくのは難しいですから。
Q. 5アンペア生活の実践や、庭を拝見するといくつかの野菜も自分で作ってたり、「依存しない暮らし」を一つ一つ実現されています。これからやりたいことはありますか?
A. 答として逆になってしまうかもしれませんが、八郷で暮らしてみて、依存せざるを得ない、援け合わなきゃ一人じゃ暮らしていけないことをすごく感じます。都会の依存というのは、途上国の人とか地方の人とか見えない誰かを犠牲にして、何でもお金で買ってしまうことなのかもしれません。
ここでは、顔の見える依存関係を強めていかないと生きていけません。今飼っている猫の福太郎のこと一つにしても、みんなの手を借りないと私はこの子を育てられません。もっと年をとって高齢になったら、車も運転できないし、介護が必要になってくると思います。そうなったときに援け合って安心して暮らしていける地域にできたら、私もずっとここにいられるのかな。