暑気を払うには何といっても「川床」が一番だ。昨年は橋の下に作ってアブの飛来に悩まされたので今年は場所を変えた。沢の奥の幅がやや広くなったところで、沢の中、水上20センチに床を作り昼寝している。沢の中なのでアリなど虫は来ないし、暗いのでアブも来ない。時々ヤブ蚊がくるがこれは蚊取り線香1本で防ぐことができる。ゴロリと横になって上を仰げば、イヌシデの大木が枝葉を広げ、そこにツタがへばり付いて葉を広げ、更にヤマフジの大木がからみついて葉を広げている。緑のドームである。東側はシノ竹が日を遮って暗い。川面を流れる風が涼を運んでくる。夜ならば不気味で立ち入れないが昼間は存外明るくて何の危険もない。昼はイノシシもやってこないし。横になって沢音だけに心を集中していると暑気が引くとともにウツラウツラと寝てしまう。昼間セカセカと働いている人には「申し訳ないけど気分がいい」。夏は思考がどんどん即物的、肌感覚的になっていく。 S