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ふみきコラム 荘園制?!

 先日、北海道のN氏が郡山に用事で来た折、その足で農場に寄ってくれ久しぶりに雑談した。(N氏は35年前の農場スタッフ)「そろそろ新しい場所を開拓するのもいいかなぁ。海の見えるところとか。」「北海道のどこそこではすぐに使える家と牛舎と30ヘクタールの牧草地つきの物件が300万で売りにででいる」とかそんな話しであった。ぼくの方は「ひと山買おうというような話もあり、そんなところで何かオモシロいことを始められたら」とか「都市部にショップ(ショーウィンドゥ)が必要だ。」とかいう話しをしたと思う。昔から言っている、都市と里と山を結ぶ構想である。1時間に満たないとりとめない会話だったが。不意に「荘園制を復活する」というアイディアが浮かんで、これはいけそうだと妙に自分でウキウキしたのである。そしてその日のうちに「荘園“やさとの荘”の立荘について」という企画書(?)を楽しく書いて夜更かししてしまったのであった。

 荘園制の復活とは今後10年ないし数十年で地方が「荒地化」していくのであれば、そこをわれわれ(主に都市から地方に移民した人たち)の力で「再開拓」し「荘園」化してしまおうというものである。さして広くはないが、狭いともいえないエリアに(旧やさと町程度)中小の事業や活動を立ち上げ、その連携で独立色の強い(その中で衣食住の基本はまかなえる)小経済圏を作るのである。
 見捨てられた地域の諸資源や技能等々を現代的に再編集するといってもよい。田舎には実に多くの資源が眠っているものだ。また、それをあえて荘園「制」と言った訳は、「われわれ」はアイディアや労力はあってもお金が無いので、その荘園を都(ミヤコ)の有力者(お金持ち、シルバーなど)に寄進し、その保護を求めようということである。
 オーナーたちにとっても、日常的には荘園の物品が貢物として届けられ、いざという時にはそこに行けば生活できてしまうという自分の荘園があるというのは、人生のセーフティネットとしても、はたまた精神生活としても大いなる豊かさをもたらすのではなかろうか。都市の人と荘園が相互に寄進しあうというこの制度(?)はまた荘園内の経済がいわゆる商品経済だけで回る場所ではないということの端的な表現でもあるだろう。

 さて旧たまごの会は40年前の社会の中に生まれた。そしてその後今まで、暮らしの実験室と名称を変えてからも初期に作られた思想や活動の枠組みの中でやってきたと思う。むろん時代の変化と共にやり方を変えたり、気がつかなくとも経年変化していったところもあるだろう。微修正を繰り返しながらやってきた。しかし基本のフレームを作り変えたことはなかった。宇治田氏から農場を引き継いだ時、あるいは暮らしの実験室として再スタートした時、活動の第2ステージを展望しようということが語られはしたが、具体的にはイメージできなかった。(しかし“やかましむら”の活動や色々なイベント、“やさとカフェ”の活動等々は、第2ステージの議論が無ければ出てこなかったとはいえる)
 初期のフレームは世界大では冷戦構造の時代であり、経済的には日本が高度成長を達成し、右肩上がりが当たり前の時代であり、人口も微増していた時代に作られたものである。その「近代化」が不可避的に生みだしていた諸問題(公害等)があり、たまごの会は農業の近代化が生み出す食べ物の劣化に対し、有機農業ということばを対置したのである。(たまごの会の特異性はそれを産直という形ではなく、自給農場を作るという形で進めたところにある)しかし40年経てば時代は変わる。世界大では冷戦構造はすでに昔話である、アジアの政治地図も激変した。経済もかってのような右肩上がりは無理で、人口も減少過程に入っている。様々な公害も技術的あるいは制度的に改善されたし、食の安全も生産者の意識も変わりチェック機能も働いてかってのような危険レベルではなくなっている。農業に来る人の関心も農業や食の安全ではなくて、むしろ生き方やメンタルなものになっている。

 どんな人間もどんな活動も気付かなくとも時代の制約を受け、時代のニーズの中に生き死にしている。時代が根本的に変化したのであるからそろそろ枠組み(OS)を変えるべきではなかろうか。暮らしの実験室もいろいろなイベントや“やかましむら”の活動を通して多くの若い人たちが来るようになり、また(これは実は暮らしの実験室の活動ではないのだが)“やさとカフェ”の活動を介して地域の様々な新住民との関係も生まれ、微力ながら蓄積してきたものがある。そこに数十年のうちには「地方消滅」というありがたい御託宣もあり、今なら新しいOSを構想することも可能だと思うのである。荘園制の中味については別紙レジュメに譲る。 S
by kurashilabo | 2013-12-21 14:52 | 鈴木ふみきのコラム | Comments(0)