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鶏舎の窓から

もう一つ不思議な作業としては卵磨きがあります。
卵磨きというのは
①採卵した卵が割れないかチェックする、
②汚れた部分を濡れタオルで拭き取る、という作業です。
全部屋の卵をチェックするので毎日1時間半ほどかかります。

どうして卵が汚れるのかというと、鶏が採卵箱に入る際に足で他の卵を踏んだり(鶏舎の床は全面鶏糞なので、鶏の足は少なからず汚れている)、産んだ際にワラや羽が卵にくっついたりするのです。どちらも鶏舎の仕組み自体に由来しているので解決策は望めません。
汚れは部分的に引っかいた跡のようなものが、全くついてないものもあれば、2~3箇所ついているものもあります。たまにすごーく全面的に汚れているものもありますが、そういう卵は後述の理由によってチェックせずにはじいちゃいます。2~3箇所というのは小さな汚れといえば小さな汚れですが、全部チェックして拭こうとすると結構手間がかかります。

汚れているから拭く。一見当たり前のようですが、問題点もあります。それは、卵の殻というのは保護膜で守られていて細菌などが中に入ってこないようになっています。表面が多少汚れているからといって、うかつに拭いてしまえばその保護膜までも拭き取る事になるからです。また卵は生き物ですから呼吸もしています。しかし拭く事で外部と遮断され窒息してしまう。(近代養鶏では全ての卵を洗卵し、その後菌が入らないように人工的にコーティングするようです。)見た目を気にするのか、卵本来の機能を生かすのか(作業の手間も1票入る)、そんな事を考えながら、やっぱり磨く(笑)。

しかしほどほどに。まぁこれくらいなら許してもらえるかな?というギリギリのラインで。手間を惜しんでいる訳ですが、神経質に全面ピカピカにしようものなら、それはもう生き物ではなくて、ただ卵の殻を被っただけの卵です(「飛べない豚はただの豚)みたいに)。前回、採卵箱の位置を高くしたいという事を書きましたが、そうする事で鶏がむやみに採卵箱に入らなければ卵がきれいになるかも、という期待もあります。最初から磨く必要がないくらいに綺麗であれば何も問題はないのですよね。

イバ
by kurashilabo | 2011-07-23 12:06 | 週報からの抜粋