<   2011年 09月 ( 5 )   > この月の画像一覧

ふみきコラム 20キロ圏内というサンクチュアリ

ヒンシュクを承知でいうのだが、こんなことでもなかったら私たちは牛の、このような雄姿を眼にする事はできなかっただろう。サンクチュアリ、そんなことばが口をついてでる。少し愉快である。いや、かなり楽しい。
「牧草地のように」草の伸びた小学校の校庭を疾駆する一群の牛の写真を見ているのである(9月4日、朝日)。

津波や原発事故は、それがゆるぐことのない現実だと思ってきた私たちの日常を引き裂いて、普段見ることのできない多くの光景、現象の裏に張り付いている本質を様々な形で私たちに見せてきた。(そのことで、3.11と呼ばれる時代区分となった)これもまたその一つといえるだろう。

ボクは時として、家畜と呼ばれている動物たちを、その「ケージ的なるもの」から解き放ちたいと妄想する。しかしむろんそれは妄想にとどまる。しかし人が逃げ去ったフクシマの避難区域ではそれができたのだ。むろん多くの牛や豚やニワトリが閉じ込められたまま捨てられ、餓死して腐っていったのは知っている。(その悲惨が報道される事は、おそらく意図的に少ない)しかし逃がした人もいたのだ。

福島第一で「爆発的事象」が続いていた頃、万が一この農場から避難せざるを得ない場合、トリや豚やヤギをどうするか考えた。「エサと水をまとめて与えておけばとりあえず一週間くらいはもたせられるだろう、(水の方が問題。不断給水の設備はないので)それ以上になる場合は解放するしかないが、近くに水とエサがあるという状況にしておけば、それがある間は農場から遠くへ行くことはないだろう」というのが内心での判断だった。ただし解放してしまう選択肢は地域の人たちも避難するという状況にならなければ実行するのは難しい。結局、そこまでいくことはなく、いざという時の大きな水入れなどを用意しただけで済んだのだが。(で、残念ながら?豚がトン走し、ニワトリが空を舞う姿も見る事ができなかった)あの牛たちは幸運だったのだろうか。

先日書いたように、1ヶ月出荷が遅れただけで「立っていられない」「突然死する」ような人生?を送っている大多数の牛にくらべれば、幸福な牛たちといえるだろう。草だけ食ってスリムになって体は軽いだろうし、幸いセシウムが蓄積しているはずだからステーキにして食おうという人もいないだろうし。それが動物の解放だと言いたい訳ではない。しかし「食べられる」ことをされなくなった牛や豚やトリたちのサンクチュアリ、そういう場所がどこかにあっていいと思う。作りたい。私たちは日ごろ豚とかニワトリとか気軽に言うけれども、実は豚とかニワトリなどという動物はいない。そういう生物種はない。イノシシや赤色野鶏と人との共生型をそう呼び習わしているだけだ。そのサンクチュアリで彼らはその本来の姿を開示し、人が日ごろ何を食べているのか身をもって私たちに示すだろう。それはまた、人類史の(反省的)復習として、人と動物たちの関係のあり方を問いかけてくるに違いない。あの牛たちは福島の冬を越せないだろう。その前に「行政的に」処分されることになるのだろうか。許されるものならば、行って、餌を与えて生き延びさせたいものである。
[PR]
by kurashilabo | 2011-09-10 16:29 | 鈴木ふみきのコラム | Comments(0)

ぶー油(ラード)について

農場にはたくさんの人が来る。だから、料理に使う油の消費も激しい。
現在の栄養学?では、油脂も塩と同じ様に、摂り過ぎ注意というのが先行してしまう。
しかし油脂は三大栄養素の一つで、効率の良いエネルギー源であり、油性ビタミンも含まれている。油脂が悪者のイメージが強くなったのは、塩と同様に、品質の低下が原因ではないかと僕は思っている。

塩については、後日(僕のスイッチがONになれば)書くとして、今回は油脂についてちょいと掘り下げてみたい。
油脂の品質低下の理由として、非玉搾り(圧搾式じゃない)や過度の精製があげられる。さらに2009年に福島みずほ消費者担当相が話題にした「トランス脂肪酸」。かなり前から、健康オタクの中では、マーガリンはやばい!と言われていたのだが、難しい専門用語は眠くなるので、わかりやすく説明したい。

バターよりもマーガリンを選ぶ人って、マーガリンが植物油脂だからだと思うのだが、ここで疑問。マーガリンは植物油脂なのに、なぜ常温で固まっているの?答えは水素付加して固めている。この時に副産物としてトランス脂肪酸が生成するというのだ。
その他に、植物油の精製に際し、脱臭の過程において生成したり、油を高温で加熱する調理過程においても生成する。アメリカではトランス脂肪酸のことを、狂った脂肪酸だとか食べるプラスチックだとか言うらしい。トランス脂肪酸に限らず、酸化しない油だとか、コレステロールを下げるだとか宣伝されている健康油ほど、添加物(乳化剤・酸化防止剤)が入っており、逆に体に悪そうだから笑えるのだが。

さて、農場も油を自給するには、菜の花プロジェクトかと考えたが、ぶー油があるではないか!ということで油脂自給率アップ達成。動物性油脂=コレステロールって思われるけど、油脂の酸化という点で、植物油脂よりも動物油脂の方が圧倒的に酸化に強いのである。(はい飽和脂肪酸ですね。あっ専門用語でちゃいました。)酸化した油脂は、活性酸素同様に強い酸化作用を持つので危険危険。

c0177665_16451683.jpg

ラードをお試ししたい方は、1本400円で販売しております♪コレステロールがどうしても気になる方には、オレイン酸含量が高い「エキストラバージンぶー油」も同じ価格で量が少なめで販売しております。

最後に~油脂の良し悪し、植物油脂と動物油脂の摂取バランスもあるけど、自分の体からのサインを僕は重要視している。例えば、外食で揚げ物を食べた時の胸焼けである。


[PR]
by kurashilabo | 2011-09-10 13:32 | 週報からの抜粋 | Comments(0)

縄文ハウスにロケットストーブを作ろう!

あちこちで稲刈りが最盛期となってまいりました。
実りの秋ですね。

さて、今年農場では「縄文ハウス」いわゆる「竪穴式住居」を建築する企画が立ち上がり、4月からこつこつと建築しております。 この縄文ハウス、究極のエコハウスなのではないかと思っています^^

311以降、家庭で使える代替エネルギーとして巷で話題の「ロケットストーブ」を縄文ハウスに入れて、冬もあったか快適居住空間をつくることになりました。

ロケットストーブを作ってみたい!竪穴式住居が見たい!という方、ぜひお気軽に以下のイベントにご参加ください。

素人が寄せ集まって自力で作っています。
そんな作る過程が大好きな人も大歓迎です^^

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★
   やかまし村建設プロジェクト Vol8
   10月8-10日 「縄文ハウス」を造ろう!
          ~女性も住める快適竪穴式住居~   
★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

◎◎ 第8回イベント 募集要項 ◎◎
--------------------

「縄文ハウス」を造ろう!

■イベント内容
・ロケットストーブを作る!
 その他いろいろ

■日時:2011年10月8日(土)~10日(月)
 8日昼10:30に農場集合、10日夕方に解散予定
 (上野8:19発、石岡9:58着の電車、10:05石岡駅発のバスに乗る)
※農場がはじめての方は朝上野駅に集合し、その後、みんなで農場に向かいます。
 詳細は参加フォーム入力後に、こちらからご案内いたします。
※一泊も日帰り参加もOKですが、全日程参加をお勧めします♪

■開催場所:暮らしの実験室やさと農場 (常磐線石岡駅~バス20分程)
〒315-0116茨城県石岡市柿岡1297-1 Tel: 0299-43-6769
アクセス: http://yasatofarm.exblog.jp/i7/

■募集人員: 先着20名

■参加費:11500円
<内訳>
・イベント参加費2000円
・宿泊、食費別途9500円(宿泊:3000円×2泊、食費:500円×7回)
・その他、希望者は温泉代(500円)、お酒代(好きなだけ)別途
※学生と子供は宿泊費が半額になります!(-3000円)
※日帰り参加者は参加費が3000円になります
 (農場利用料。イベント参加費、食費1回分込み)

■申し込み:
こちらから申し込んでください。
http://my.formman.com/form/pc/xEgvFNwDHuYiwhJi/
携帯からだと送信できないことがあるので、できるだけパソコンから
送信してください。

■募集締め切り10月2日(日)
・募集定員になりましたら、早めに締め切りさせて頂きます
・キャンセルについて
 10月6日(木)までキャンセル料は発生しません。
 6日以降のキャンセル料は一律2000円です。(日帰りの人は1000円)

■持ち物
・作業着(できるだけ肌が出ない服装)
・着替え(屋外で活動するので防虫対策に長袖をわすれずに!)
・軍手、帽子、動きやすい靴

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●《ロケットストーブとは!?》
簡単に言うと、かなり効率の良い薪ストーブです。
主な特徴は、
・断熱性の煙突によって中は約1000℃になり、薪を完全燃焼させる
・ダクトを土でできたベットやベンチに埋め、蓄熱させることで薪から得た熱をほとんど使っている
・少量の薪で長時間燃える

●《縄文ハウスって!?》
縄文時代の竪穴式住居です。
ただし、古代を再現して考古学的展示する為に建てるのではありません。
そこで生活してみたいのです。
だから快適に住めるように、夏は涼しく冬は暖かく、水に電気に現代的生活のあれやこれ。
もじゃもじゃ筋骨隆々な縄文人だけが住めるようなシビアな竪穴式住居じゃない。
もやしだって、女性だって住める、快適なかわいい竪穴式住居です。

●《テーマ》
1、『あるものでつくる』
 その場所や地域にあるもの、もらえるもの、捨てられたもので造る。
 生活の基本である衣食住の「住」は大金を出さないと得られないものなのか。
 そんなことはないはず。モノがあふれる現代では特に、利用できるものが
 ゴロゴロあるはず。

2、『手作り』
 自分の手で、みんなの手で作り出すのは楽しい。
 みんなイチから作りたい。
 そして作るのは建築物だけじゃない。
 水は井戸、電気は自家発電、火は薪。
 生活が自給。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今回の村長・副村長を紹介します。

【村長】

小埜洋平 (カンヌシ)
大学を中退して、自給自足の生活を目指す
1990年生まれ 
2009年 早稲田大学創造理工学部建築学科 入学
2010年 「やかましツリーハウスプロジェクト」 第一章に参加
2011年 大学中退、やさと農場に移住

【副村長】
志岐孝行 (シキエモン)
mixiネームは「ぽんくる」
車にいろいろ道具を積んでるドラエモンみたいな会社員(自動車製造業)。
「助けてシキエモ~ン!」と叫べばたいていのものは出てくるかも?
1976年生まれ 長崎育ち 茨城県在住
2010年 「やかましツリーハウスプロジェクト」 第一章に参加

------------------
村長:カンヌシより一言
------------------
縄文時代っていろいろ充実していたみたいです。
漆とか魚醤とかフグの毒抜きとかとか。
ウホウホで棒振り回してウハウハじゃあなかったんですよ。
もしかしたら今より楽しい生活を送っていたのかも。
そうやって想像して縄文のロマンに浸りながらトンテンカンカンしましょう。
縄文ハウスを作る過程をブログに書いています。
是非読んでみてください。
http://mokutengu.seesaa.net/
――――――――――――――――――――――――――――

★やさと農場とは?(茨城県石岡市)
「暮らしの実験室」が運営する無農薬・有機栽培の
循環型農業を実践する農場。
「いたるところにfarmを。いたるところをfarmに。」を旗印に、
鶏、豚、アヒル、ヤギ、犬、猫と人が住まう、
自然と人、家畜と人、人と人が対等に向き合う空間。

http://yasatofarm.exblog.jp/

★やかまし村とは?
2008年5月にスタートした「やかまし村」イベントは、
都市の若者が、土や生き物に触れて、癒され、心と身体を解放する
イベントを継続して開催してきました。
そこで出会った仲間たちが、東京でシェアハウスをはじめ
農場の野菜をみんなで食べたり、手づくりレストランなどの
イベントを開催して都市で生活している人たちに、
新たな暮らしのきっかけ作りをしています。


★やかまし村建設プロジェクトとは?
去年、やさと農場でツリーハウスをつくり、手作り建設の楽しさに
味を占めた人たちが、もっと多くの人を巻き込んで、やさと農場内
にさまざま建築物を作っていこうとしているプロジェクトです

----------------------------------------------------------------------------------
[PR]
by kurashilabo | 2011-09-08 10:58 | お知らせ(告知) | Comments(0)

食と農を感じるイベント ~食べて、聴いて、つながる「わ」~

農場のお野菜を使って素敵なイベントが企画されました。
ご関心のある方はぜひご参加ください。
当日、わたくし、姜(かん)がお話させていただきます★

☆===================================☆
    Earth Kitchen×菜夏カフェpresents

   食と農を感じるイベント ~食べて、聴いて、つながる「わ」~
☆===================================☆

 「カラダにもココロにも地球にもやさしい野菜のおいしさを味わい
 みんなと共有したい!」という想いから始まった“菜夏カフェ”の三年目企画。

今回はEarth Kitchenとコラボレーションで、ごちそうを味わうだけでなく、
 お野菜をご提供いただくやさと農場(※)スタッフさんのお話をじっくり聴いて、
 参加者同士想いや気づきをシェアする時間をプラスしたイベントです。

 ふだん食べている食べ物。
 私たちのごはんは、太陽と雨と大地の 恵みを受けて育った作物、そしてそれを日々
 育てる農家さんによって支えられています。
 この機会に農家さんとつながり、いろんな想いを共有しませんか?
 特に、原発事故を受けてこれからの日本の農は課題がたくさんあります。
 そんなこともみんなで考えていけたらいいなと思います。

 愛情を込めて育てられた野菜のハーモニーを味わいながら、
 人の「輪」をつなげ、ふだんのくらしの「環」を感じてみませんか?

 ※やさと農場・・・「いたるところにfarmを、いたるところをfarmに」という想いのもと、
 無農薬・有機栽培にて野菜や卵などを生産する「ORGANIC FARM 暮らしの実験室」の活動拠点。
 都会の若者が集まりツリーハウス作りなど様々な楽しい企画も随時あり!(茨城県石岡市)
 http://homepage.mac.com/kurashilabo/index.html

 イベント詳細は下記です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■ 開催日時&プログラム
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 9月17日(土)

 ランチタイム→12:30~14:30(受付12:15~)
 カフェタイム→15:00~17:00(受付14:45~)

 *味わう時間+やさと農場スタッフのお話+気づきのシェア

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■ 開催場所
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 アトムCSタワー地下1階
 新橋駅徒歩7分/新橋4丁目交差点/港区新橋4-31-5
 http://www.atomlt.com/atom_cs_tower/access.html
(会場への直接のお問合せはご遠慮ください)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■ 参加費
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ランチタイム→2000円(ランチ、プチデザート、飲み物付)
 カフェタイム→1000円(スイーツ、飲み物付)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■お申込み&お問合せ
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 piropiro_n98●dj.pdx.ne.jp(山口)宛に、時間帯、人数をメールにてお願いします。
 (●を@に変えてください)
 数日経っても返信がなかった場合、届かなかった可能性もありますので、
 その場合はお手数ですが再度ご連絡下さい。

 【主催】
 ◎Earth Kitchen~生きることは食べること。そんな身近な“食”を通じて、地球の恵み
 を感じ、自分の心と体のあり方、人や世界とのつながりを感じてもらいたいとの想いで、
 パーティ等での料理提供、期間限定カフェ、食や環境などをテーマとしたイベントを開催。

 ◎菜夏カフェプロジェクト~野菜の美味しさを味わってもらいつつ、「カラダと地球が
 うれしいごちそう」を広めたいと 2009年から夏に期間限定カフェを開催。
 http://blog.livedoor.jp/natsu_cafe/?p=3
[PR]
by kurashilabo | 2011-09-06 11:10 | お知らせ(告知) | Comments(0)

ふみきコラム0903

このところたて続けに古い日本映画を見ている(DVDで)。戦前の「新しき土」(16才の原節子がでている)や「上海陸戦隊」にはじまり戦後の黒澤明の「酔いどれ天使」「野良犬」等。小津安二郎の「東京物語」や「浮草」や一連の作品、高峰秀子と三船敏郎の「無法松の一生」、石原裕次郎と芦川いずみの「乳母車」、仲代達矢の「切腹」や「不毛地帯」、高倉健の「昭和残侠伝」、池部良の「さらばラバウル」「潜水艦イ-57降伏せず」などの戦争もの、等々である。特に理由はない。洋画でめぼしい作品はほとんど見てしまったのでまた故郷に帰ってきたという気分である。

古い映画は中味はともかく、風景や道行く人々や車を眺めているだけで楽しい。どんなささいなカットも必ず何かしらその時代を切り取っていて、それが自分の中の埋もれた記憶と呼応して切なくなるのである。いまはもうなき役者たちも懐かしい。それぞれにひとクセある面構えの面々。彼らをみているとつくずく自分が昭和の人間だと実感する。「コオロギ鳴いて、昭和も遠くなりにけり」平成はもうダメなのである。まあ、映画の話はどうでもよい。喜んでいいのか微妙だけれども、シルバー割引がきくので、一日1本150円、収入に見合ったささやかな楽しみという訳である。

昨日見た黒澤明の「生き物の記録」(1955)は時節柄考えさせられるところがあった。三船敏郎が(たぶん20代の)60才くらいの頑迷な中小企業のオヤジ役で主演しているのも異色だが、この映画、核をテーマにしているのである。当時はげしかった米・ソを中心とした原水爆実験を恐れて、(核戦争と放射能)一族郎党2号さん3号さんの家族まで引き連れてブラジルに逃げようという頑固一徹の「オヤジ」と、それをありがためいわくな「被害妄想」として準禁治産者扱いにするよう家裁に願い出た子どもたちの人間模様を描いている。「危険が迫っているというのにどうしてお前たちは平然としていられるのか?」「ワシは子どもたちを救いたい!」「危険から逃れる方法があるというのにどうしてそうしないのか?」「この国に生きる生き物たちが、もし本当のことを知ったら皆逃げ出していくだろうよ」等々。当時は第5福竜丸事件などもあり、切迫したものがあったのである(焼津のマグロ漁船第5福竜丸がビキニ環礁で被爆した事件。焼津はすぐ近くの町だったのでそのニュース映画のシーンをよく覚えている)

僕はもう福島の事故などなかったかのように、或いは放射能など無くなってしまったかのように、平然とここで暮らしている。むろんフクシマは終わったわけではなく、ただ日常になっただけなのに。そして時折「○○さんは(子どもがいるので)西のほうに引越したそうだ」などという話を聞くと、それはちょっと神経質に過ぎるのではないかと思ったりする。「西のほうにだって原発はあるんだぜ」と冷笑したい気分にもなる。このような場合、どちらが正しいか、にわかには言い難い。茨城などはまだいい、フクシマではこうした問題はもっと切迫しているはずだ。南相馬市などは人口が半分になっているそうだ。その周辺でも人口は減っているに違いない。逃げる人と残る人、これは家族や地域の将来に放射能以上に難しい問題を残す気がする。映画ではかの頑固オヤジはどこか知らぬ星まで逃げて、「オー!地球が燃えている!」と叫ぶのだけれど。病院の中でだが。原水爆であれ原発であれ、核の時代「正気」がどのあたりにあるのか、どう保っていったらいいのか、これを見定めるのはなかなか難しい。
[PR]
by kurashilabo | 2011-09-02 12:53 | 鈴木ふみきのコラム | Comments(0)