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茨城県産露地ホーレンソーの出荷について

本日出荷の野菜と一緒に配送した週報より抜粋いたします。

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茨城県産露地ホーレンソーの出荷について

原発事故は「まだ遠い」と心のどこかで思っていたら突然、というかいよいよ身近で切実な問題となってきました。すでにご存知のごとく、茨城県産のホーレンソーの出荷停止という形で。
ホーレンソーは今週の出荷予定に入れていたので、それを出すのか出さないのか、判断が迫られています。

考えれば考えるほどこれは難しい問題です。

国や県の指導に従って当面出荷を止めるというのが一番無難な態度ではあるのでしょう。当初はそう考えていました。しかしそれでいいのかどうか? 自分たちの本気の判断としてはどうなのか? 国や県の指示はそれはそれとして、生産している当のスタッフ自身がそれを本当に危険と感じているのかどうか、まずはそこが問われるべきではないのか? 

もしスタッフが危険性があると考え、自分も食べたくないのであれば、当然出荷はしません。逆に大きな問題はないと判断して自分が食べているならそれは出荷してよいものということになります。それが私たちの基本的立場です。生産者である農場スタッフが毎日食べているというのが私たちの第一義的な安全保障だということです。

次にホーレソンソーだけが汚染されているということなど常識的には考えられません。ホーレンソーがダメなら他のハモノ野菜も汚染の可能性が高いし、今年作るコメにも影響がでるでしょう。鶏や豚や山羊に牧草を与えていますから、その影響も考えねばなりません。(水は深井戸なので当面問題ない)そう考えるのが普通だろうと思います。

では、どのレベルまでなら私たち(スタッフ)はここの野菜を「特に問題なし」と考えたらいいのでしょうか。これが全くわからない。農薬なら自分が使わなければいいし、隣のオヤジが撒いていたのがちょっとかかったかな、などと予想ができます。しかし放射能は目に見えないし、味もないので日常的な身体感覚では考えようがない。素人には判断の方法がない。専門家の判断を聞きたいところだが、おそらく彼らもどこまでなら安心などとは言えない。「○○マイクロシーベルトのホーレンソーを○年食べたら、こういう障害が○%でした」などというデータはないのではないか。広島、長崎の他にチェルノブイリのデータがあるが、それによれば甲状腺ガンの増加以外、有意な問題はなかったとも言われている。しかしだから安全、などと言えるものでもない。誰もわからない(ので、基準値を超えているので対策をとるが、それは危険を意味するものではない、という奇妙なメッセージをテレビも新聞も毎日流している) しかしそれでもここは専門家の知見を待つしかないのではないか。遠からず国の新しい基準も出るだろうし、それについての反論なども出て、しばらくすればある幅の中に社会的コンセンサスが収まってくるのではないか、それを期待したい。その幅の中で自分(たち)はどこまでは「まぁ仕方がない」と考えるか個々に判断していくことになるでしょう。もはや今後、放射能危険度ゼロということはありえません。

また汚染がどの位の期間続くのかということも重要なポイントです。一時的なものなのか、かなり長期にわたるものなのか、で判断も変わってくるでしょう。更にまた、危険度は妊婦、乳幼児、若い人、老人などで違ってくるので誰にでも妥当な基準というものはそもそもありません。

そんなことをぐるぐる考えながら、サテ、ホーレンソーは出荷するのかしないのか。
(この農場は一般流通に乗せているわけではないので、国や県の指示に従う立場にありません)
暫定的な解答は次のようなものです。

第一に、野菜その他、今後も予定通り継続して出荷する。今現在、スタッフは農場の食べ物が危険レベルにあるとは考えていないということです。

茨城県産のほうれん草が出荷停止になっていますが、基準値を超えたのは県北のほうれん草であることと、東都生協がホームページ上で公開しているJAやさとのほうれん草(16日出荷分)の残留放射能値が基準値以下だったことを受けて今回出荷しています。空気中の放射線量については、栃木県の真岡やつくば市の値を参考にしています。

第二に、やさとの汚染レベルを定期的に計測し、公表していく。(機器はやさとの有機農業関係者と協同して購入する方向)。

第三に、危険レベルについてはもう少し時間をとって、専門家の見解や社会的コンセンサスを見極めて判断する。当面は現在使われている暫定基準に従う。

第四に、以上は農場の立場ですが、危険度の感じ方は人により違うし、人により条件も違うので(なんとなく気持ち悪いよね、というのも一つの態度だし)荷受できないという方がいれば、それは受け入れるしかありません。

たかがホーレンソーの話ですが、私たちスタッフは農場経営の問題(いろいろな形で収入が減りそう。それでたちゆかなくなる可能性もある)、農業をここで続けることができるかどうか、という問題と考えています。いろいろな御意見をいただきながら「よりベターな」判断をしていけたらと思います。今後ともご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。
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by kurashilabo | 2011-03-25 18:42 | 週報からの抜粋 | Comments(0)

ORGANIC FARM WEEKLY 号外

今週は野菜セットの出荷ができました。
野菜セットに同封している週報の中身をブログでも公開してみなさんに現況をご報告します。

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ORGANIC FARM WEEKLY 号外
発行:やさと農場 TEL 0299 43 6769 '11,03,18
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<お知らせ>
次週、26日(土)着便にて豚肉出荷の予定です。
但し、屠蓄場の都合(混みそう)その他で変更する可能性があります。
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<今週の箱の中身>
今週の箱の中味はイレギュラーです。先週、荷造りが丁度終わった頃に地震が来て出荷できなくなってしまったので、ネギとハモノ類以外は先週の分をそのまま使わせていただきました。(佐川が動くかどうか、直前までわからなかったので十分準備ができなかった)タマゴは先週分も十分使えるので廃棄することなくそのままにしました。今週分も入れましたので多いとは思いますがご利用いただければありがたいです。ネギ、ホウレンソウ、とう立ちコマツナ、コマツナは新しくしました。

■来週の出荷メニュー(予定)
大根、人参、ネギ、ハタマネギ、タクアン、ホウレンソウ、他ハモノ3種。
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<報告をかねて>
 先週は出荷ができず、大変ご迷惑をおかけいたしました。荷造りはほぼできていたのですが、佐川急便が動かないのでは仕方ありません。地震には本当に驚きました。皆外に飛び出し、小生は近くの桜の木につかまって体を支えていたほどです。
 建物や車や木々が激しく震動し、林や山からは煙のように杉花粉が舞い上がっておりました。震動もさることながら、揺れが非常に長く続き、何かとんでもないことが起こっているという恐怖がありました。揺れの経過から直近の地震ではないとすぐわかりましたが、直近でなくてこれだと震源地付近はとんでもないことになっているのではないかとも思いました。(事実そうだったのですが)

 人間どもは寄り集い、犬のシロは寝床に小便をもらし、ネコのナオキチはおびえて走りまわり、鶏は一斉に鳴き出し、それでも山羊は平然と草をはみ、犬のトマトはいつも通り遊べ遊べとボールをくわえてはしゃぎまわって皆の笑いを誘っておりました。幸いなことに建物本体には大きな損傷は無く、カマドのエントツが落ちたりタナから多くのビンが落ちて壊れたり、これはあとから気づいたですが井戸ポンプが破損したり等々というレベルで済みました。

 近所では大谷石の壁の倒壊や屋根ガワラの落下が多々みられ、道路も一部陥没しているところがありました。その後、停電が3日ほど続き、水が使えないので筑波山の谷水を汲みに行ったりエコトイレを復活したり(ボットンあるいは林の中)、キャンドルナイトを楽しんだり(?)しておりました。現在は灯油が入手できない(スタンドが開かない)程度の日常です。

 原発事故には対応の仕様がありません。ひたすら安定するのを祈っている毎日です。当地は福島原発から150kmくらいですが、これを近いとみるか遠いとみるか、むずかしいところです。チェルノブイリ級の事故を想定すれば至近といえるし、現在のレベルなら「まだ遠い」と言ってもいいかもしれません。「まだ遠い」で済めばいいのですが、もしここがダメなような事態になれば東京も至近ということになります。

 農場でも原発情報を常時チェックしながら対応を話し合ってきました。その結果、最低限の維持人員を残し、他は自宅待機ということにしました。現状では仕事も手に付かないし(放射能を恐れながら仕事などしたくないしね)、動物達の世話だけなら全員いる必要がないからです。佐川もしばらく動きそうもなかったし。今後のことは状況がもう少し安定した段階で判断することにしています。

 今日はとても寒く、風も強い一日でした。ビニールハウスの中はもう春で、春菊やコカブや水菜が青々と育っています。豚は相変わらずブヒブヒと飯を要求しています。そんな平凡な日常からみると、放射能も津波被害も現実感がありません。そんな中、県南家畜衛生保健所からまた電話があり、「千葉でトリインフルの2例目がでたが、そちらは大丈夫か」というものでした。放射能であれ、トリインフルであれ、目に見えないモノノケは頭の中でどんどん増殖し、アナログ人間である小生はただただおびえているしか能がありません。

今後ともどうぞよろしく御支援下さい。                    鈴木
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by kurashilabo | 2011-03-18 19:12 | お知らせ(告知) | Comments(0)

農場は無事です

この度の地震で農場もかなり揺れましたが、幸いにもスタッフに怪我もなく、農場の建物に損壊もありませんでした。
昨日の夜まで電気が供給されていなかったため、ご連絡できずご心配おかけしました。

12日到着予定だった、出荷も佐川急便が配送をとりやめたため、出荷できませんでした。
皆様にはお野菜と卵をお届けできず申し訳ありません。

常磐道が通行止めで、運送会社の営業再開がいつになるか不明なため、出荷再開のめどがたっておりません。運送が再開されましたら、また通常通り出荷を開始いたしますので、どうぞ今後ともよろしくお願いもうしあげます。

スタッフ一同
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by kurashilabo | 2011-03-14 18:52 | お知らせ(告知) | Comments(0)

ふみきコラム 家畜の断章(12)

今日一般に流通している畜産物の99%以上は近代畜産(工場畜産)によるものだ。その近代畜産のなんたるかについて書こうとして途方に暮れている。とてもここではできない。しかし簡単に言えば簡単なことなのでそれで済ましたい。

明治以前の日本に家畜はいなかったと以前書いたが、実は現代日本にも家畜はいないのである。一千万もの豚がいて、億を越える鶏はいるが、彼らは家畜ではない。家畜でさえない。どんな形であるにせよ、家畜はdomesticなものであり、人間との関係に於て家畜なのである。近代畜産にあっては彼らは「工場的な」存在であり、畜産物という生産物の製造ラインに置かれている原料にすぎない。人もまたその生産ラインの一つの歯車のようにルーティンワークをこなしているだけだ。ひとつのシステムが稼動しており、そのシステムが擬似的に「飼育」している。人が「飼う」という行為に於て彼らと相対している訳ではない。
飼い主がいない。鶏は人との関係に於て鶏となり、豚もまた人との関係に於て豚であるということからいえば、彼らは鶏でさえなく豚でさえない。確かにそこに生身の鶏や豚がいるのに飼われることもなく「モノ」として扱われている光景は実に不気味で不快なものだ。

家畜であれ野生動物であれ、彼らと接する時、私たちは自分の中にある情動がたちあがるのを経験する。かわいいとか、こわいとか、触りたいとか、キモイとか、エサをやりたいとか。その時私たちは一瞬、鶏になったり豚になったりしているのではなかろうか。それが普通だし動物のおもしろさだ。しかし畜産工場の動物たちは「産業動物」であり、モノなので、そのような接し方は御法度なのである。動物を単なるモノとして扱う事に私たちはまだ不慣れであり、未経験である。そしてその不快さ、不気味さは屠畜場でも同様に経験する。ラインに沿ってシステマティックに処理されていく何百頭もの豚。その不快さはおそらく屠畜という行為自体からくるのではない。生身の動物である豚が、ルーティンワークとして、システマティックに扱われていることが不快なのである。

屠畜は元来、死という激しい自然を媒介として、自分の身体という自然、野性としての自然と人間が生身で向き合う場であった。祝祭的な場で、生身の人間が、生身の動物とそのように向き合う光景はおそらく不快なものではない。屠畜とはそのようなものであったとすれば、システムが擬似的に屠畜している現代には屠畜さえないのである。このような意味でいえば、近代畜産にあっては「飼う」も「屠畜」もなく、畜産物の大量生産システムが動いているだけだ。動物たちが何かを媒介するということもなく、「暮らし」もなく、「農」業もない。単なる動物虐待のシステムであり、名付けることのできない狂気がある。人類はかってこんな背徳的なことをしただろうか。将来の歴史家はこれを「20世紀後半に一つの狂気が出現した」と記述するのではなかろうか。S
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by kurashilabo | 2011-03-05 14:07 | 鈴木ふみきのコラム | Comments(0)