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ふみきコラム20171021

 時節柄、やはり関心は選挙。安倍の私欲、党利党略のための選挙に駆り出される腹立たしさ(山梨に戻って期日前投票を済ませてきた)。小池百合子などに振り回されるバカバカしさ(某評論家が希望の党は政界の肥溜め、小池はハエ取り紙と揶揄しているのを読んで溜飲を下げている仕末)。しかし何と言ってもびっくり仰天は前原氏の奇策だろう。いつから小池と気脈を通じていたかは知らないが、90人もの議員をようする野党第1党の「民進党」をひょっと出の「希望の党」に売り渡してしまうなんて前代未聞。ほんの一ヶ月前に党の代表選でエラそうなことを言っていたのに。しかし見物人としてはこれほどおもしろい選挙はない。普段は見えにくいそれぞれの「地」が見えてしまうから。

 策に溺れた感のある前原氏だが、現時点からみれば政局のコマを何年か早送りしただけの気もする。自民党より右のような人から元社会党までいるのだから民進党は野党としては戦いようもなく、遠からず分解したはずだし。選挙後を考えると暗澹たる気分になるし、怖ろしくもあるが、いずれ来る危機ならば早く来た方がよい。先に行けば行くほど事態は悪くなる気がする。

 さて、いつも立ち寄るコンビニ「セイコマ」の新聞スタンドに「産経新聞」があったので先日、選挙をどう報じているのか読んでみた。選挙の動向分析などは「自公で300議席うかがう」などと朝日と変わりないが、一面トップ記事で「米の北攻撃、準備に2か月」と題して米軍の北攻撃が間近いことをにおわせ「だから首相は今解散したのだ」という話になっている。次ページでは北の核攻撃があった場合、韓日で200万を超える死者が出るとか、武装難民が押し寄せるとか、米朝衝突の様々なシミュレーションを示し、「安保関連法案が無かったら大変なことに・・・」とまとめている。

 北朝鮮危機を煽って集票するという安倍のサポート記事だが、このような米朝衝突や「斬首作戦」のシミュレーションはコンビニの雑誌コーナーにカラー劇画としても売られている。ニーズがあるのであろう(ボクも立ち読みした。買わなかったけど)。劇画には尖閣危機から始まる「日中衝突もの」もある。それらを読んでいてハタと気付いたのは映画「シンゴジラ」も同じパターンだったなぁということである。映画として、ボクはあまり評価してないが、けっこうヒットしたようだ。あのような危機とカタストロフ、軍事、自衛隊の活躍、清新な政治家、ワクワクする何かを人々は期待しているのであろう。明るいニヒリズムと先の見えない社会にすっかり倦んでいて、「ちゃぶ台返し」をしたい気分。おそらく若い人たちにとって、ゲームの世界も、映画も、シミュレーション劇画も、現実の政治も本質的な違いはないのだ。

 いや、「若い人たちは」などと言っていられない。最近ボクは自分の心理に異なものを感じている。朝、新聞を開くたびに「斬首作戦」(!)はまだ始まらないか、とどこかで期待しているようなのだ。それは明らかに「反戦的」ではなく、「早くやってしまえ」的で好戦的なものだ(自分ではそれを「トランプ化」と呼んでいる。)。理性より深いところでそのような心理がうごめいている。中国についても同じだ。その崩壊と没落を心のどこかで待望している。それが怯えの裏返しだとはわかっていても心理であり気分であるのでいかんともしがたい。そういう大衆的気分が安倍を押している。

 憲法とか民主主義、人権といった近代的理性の言葉はそこに届かない。人を動かすことができない。戦争を経験した人々の身体的反戦意識だけがそれに対抗できるが、もうそういう人もわずかになってしまった。時代はそれを体験した人たちが退場することによって変わる。戦後は終わっているのである。
 選挙後にボクらが直面するのは自分をも含めたそういう大衆的気分であり、日朝、日中の関係が緊迫すればそれは軍事的、政治的に目に見える形で政治社会に浮上してくるだろう。その時われわれの政治的理性は踏ん張ることができるだろうか。いずれにせよ、ノンポリティカルではいられない時代に入っていくことになる。 S

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by kurashilabo | 2017-10-21 16:12 | 鈴木ふみきのコラム | Comments(0)
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