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ふみきコラム20170617

 「共謀罪」が成立するようである。新聞を開くたびに暗澹たる気分になる。270余の犯罪を共謀した段階で検挙できるようにするものだが、それがどんな社会を招くか普通の頭なら誰でも想像がつく。共謀罪があるということは共謀した段階で検挙できなければそれは警察官の失点となる。それ故職務熱心な警察官ほど「共謀」を察知しようとするだろう。共謀を察知する方法は世界各国どこも同じで通信傍受(盗聴等)、監視、密告の奨励である。 

 これからは何か行動を起こそうと思い立ったら盗聴や監視を意識し、隣人の密告に気を付けなければならない。軽々に口にしてはならない。そのような社会になっていく。「これはテロ等のためのもので一般の人は対象にはならない」と現政権は言うだろう。百歩譲ってそれを真に受けたとしても現政権は10年先にはそこにはいない。政権が変わり、安保環境がよりシビアになり、社会が緊迫してくればこんな「使い勝手のいい」法律を権力が利用しないはずがない。

 10年経ち20年経てばそのマインドは必ず社会に浸透していく。私たちは北朝鮮や中国の社会を、「権力が常に人民を監視している」「隣人同士が監視しあう」いやな社会だと嘲笑ってきた。映画『善き人のためのソナタ』を見て「旧東ドイツ」の人民監視のひどさを知り、解放されてよかったねと思う。一体何が悲しくてこの日本をそんな社会に戻そうとするのだろう。

 そもそも共謀罪がなぜ必要なのか。そこさえわからない。直近の十年程度を考えてみても、共謀罪が無かったために防げなかった重大なテロ攻撃あるいは組織犯罪があっただろうか。無い。イスラム過激派のテロも幸いにも起きていない。中国はむろんのこと北朝鮮も日本をテロ攻撃しようとしているとは現況では思えない。今の社会情勢で「テロ等準備」罪の必要性がわからない。必要性さえわからない法律のために失うものの大きさを思うと「ステューピッド」と口走りたくなる。

 国内的に必要性の薄いこの法律をここまで強引に成立させようとしているのをみると「ひょっとして これもアメリカの意向かな」と思えてくる。先の「秘密保護法」などと同じように。安倍は復古主義、ナショナリストの顔をして日本を軍事的にも経済的にもアメリカの属州たらしめようとしているから。尖閣防衛などと引き換えにこうした法律の成立を約束してきているのかもしれない。

 そんな安倍が今なお、国民の半数の支持を受け、国会では3分の2以上の勢力を保持している。戦後の政治を振り返ってもこういうことはなかった。その心理と論理を推測すればやはり「安全保障環境の悪化」ということになるのだろう。習近平の中国、プーチンのロシア、金正恩の北朝鮮、ドウテルテのフィリピン、よくもまぁひどい面々がそろったものだ。そしてトランプのアメリカ、いつもやっかいな韓国。こうした地勢学的環境を考えればやはり自民党、強面な安倍でということになのだろう。
 とりわけ台頭する中国に対する「怯え」がある気がする。中国が現在のような軍事的経済的政治的な強国化を進めていけば早晩日本を見下すようになり、アメリカ(+日本+韓国)と正面で雌雄を決する時がくる。(これについては『米中もし戦わば』ピーター・ナヴァロ・著が参考になる。但し、ナヴァロ氏はトランプ大統領の補佐官である。) 日本の多くの人々はなんとなく肌でそれを感じ取り、中国との歴史的に形成された複雑な感情をひきずり、その怯えが安倍政権を支持するという形になっているのだろう。他に選択肢が無いではないか。

 中国がこれからどうなっていくかはわからない。あまりに速く成長し、あまりに深い矛盾を抱え、あまりに大きな図体で、今後明るい中国があるとは思えない。しかし安全保障を考えるならば現在の「偉大なる中華民族の復興」というナショナリズムが続くことを前提としなければならない。だとすれば日米同盟を強化し、安倍で…そんなところではなかろうか。
 しかし対中国、対北朝鮮をやっているうちに、いつの間にか自分が同じ体質になっていたとすれば、笑い話では済まないぜ。よくあることだけど。 S
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by kurashilabo | 2017-06-18 09:15 | 鈴木ふみきのコラム | Comments(0)
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