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ふみきコラム 猫のはなし

 「猫が多すぎないか?猫屋敷のようでだらしない感じがする。自己管理能力がないようで。」とスタッフの一人が言う。いや全く。反論のしようもない。

 うろついている猫を頭で順に考えてみた。まずはボクの飼い猫の「ババ」去勢メス。ボクの部屋のヌシであり、飼主に似てか人見しりで農場の他の人は触ることさえできない。もう一匹部屋に居ついているヤツがいて「ナオキチ」去勢オス。彼は本来姜女史の飼い猫なのだが、部屋に入れてもらえないのでボクの部屋に来る。冷たい飼主なのだ。朝、ババが餌をよこせと頭に手を伸ばしてくる。足元ではナオキチがふとんの一部を占領している。心地よい起床。
 続いて「ネム」去勢メス(茶トラ)はイバ氏の猫である。しばらく前までは彼女がストーブの下という特等席を占有していたのだが、今は昨秋より居着いている行き倒れ猫「エイミー」にその場所を奪われ、もっぱらピアノの上で寝ている。(エイミーは眼が不自由なのでピアノの上には登れない。)エイミーは鼻づまり(肺?)が治らず徐々に弱ってきてもいる。
 そのお疲れ母さんにへばりついて乳を吸っているのが「タマコ」4ヶ月齢だ。もう体は母さんに見劣りしない位なのだが未だに乳離れしない。しかしその二匹が重なり合って寝ているのを見ていると、これ以上ない幸福感がただよっている。至福である。農場の中心の居間の、その中心であるストーブ下にこのような至福がセットされているということは良き事である。(エイミーにはもう一匹オスの子がいましたが、めでたく近くの地元の娘さんにもらわれていきました。セブンイレブンに出した里親募集のチラシを見て電話を下さいました。)
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 ここまでの5匹が飼いネコだ。その他豚舎方面に半ば居着いている猫がいて、「クツシタ」と呼ばれている。黒系なのに足だけが白いから。豚餌の残飯ねらいである。最近はクツシタ似の別の猫も出現しているらしいがボクはまだお目にかかっていない。豚舎に行く途中、豚ラードストック(豚のラードを米ヌカと混ぜてストックしている)あたりに小さくちぢこまっているのが「パンダ」である。体が小さく、いかにも発育不良といった感じである。この冬凍死するかと思っていたら生き延びている。びっくりしたのは彼女(?)がイバ小屋の下に飼われている豚「マロ」(ポットベリー種オス)と共生(?)を始めたらしいことだ。もともとは残飯ねらいでそのまわりに居たのだろうが、いつどうしてそれに気付いたのかわからないが、マロの上に乗って寝るようになったのである。むろん暖かいはず。マロも暖かいのだろうか、特別嫌な顔をする訳でもない。ワラに埋もれて寝ている黒豚の上に白い猫が寝ているというのは奇妙でほほえましいというべきか。農場以外では見られない光景である。

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 最近悩まされてのが納屋方面をテリトリーにしている黒のオス猫だ。わがもの顔で建物内にも入り込み、この部屋にも来て餌を食い荒らしていく。ババは気づいてもすでに顔見知りなのか特に反応しないのだが、ナオキチはオスなのでお互いに唸り始め、時に一戦に及ぶ。そうなると夜中であろうと起きなければならず辛いものがある。このように飼っている訳ではないが農場を住み家にしている猫が4匹いて、都合9匹がうろついていることになる。確かに猫密度が高い。餌代もババ一匹の時は問題にならなかったが、ナオキチが来てババの3倍のエサを食い、エイミーとタマコがまた良く食べるので買ってきてもすぐ無くなってしまう。

 部屋にいても居間にいても外にいても近くに猫がいて、ネコカフェのようでボクとしては大変居心地がいいのだが(癒やされっぱなし)確かに外の人が見れば「だらしない」ということになるのだろう。しかし開き直るようだが、トシヨリになると何事につけだらしなくなるし(老化)、そもそも
ペットなどだらしないを形にしたようなものなのだ。だらしなくないペットなんてありえない。ペットはプライベートの極み。他人が見ればだらしなく、バカ丸出しで見ていられないものなのだ。それに殺す訳にもいかず、追いたてたところで疲れるばかりだし、捨てにいくのも嫌だし仕方ないじゃないか。これでもパンダにエサをやりたい気持ちを抑えてはいるのだ。自己管理能力あり。 S
by kurashilabo | 2014-03-30 15:52 | 鈴木ふみきのコラム