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ふみきコラム 荘園制④

「荘園」プランでは都市部にショップをもつことを提案している。ショップというより「やさとの荘」の出店(でみせ)であり、ショーウィンドーであるような場所である。これは「あったらいいね」ではなく、これがないと「やさとの荘」が機能しない、活動的になれない大事な場所なのだ。ハードルが高いし田舎に住んでいる農場スタッフは直接の主体にはなれないので願望として言うしかないのだが。(そこに専従スタッフを置く、という考え方もあるが、今はその経済的土台がない)

ショップのイメージは次のようなものだ(考え方の例として)。

★場所の時間的、空間的シェアというコンセプト
①レストランエリア…  
  朝メシ屋 am6:00~10:00 朝メシと弁当
  レストラン am11:00~pm9:00 荘園の物産を使った「今日の料理」メニューは2つか3つ。
  BAR    pm9:00~                      ※それぞれ事業主は別
②販売エリア(都市内直売所)… 野菜セットの販売、トーフ等加工品の販売、パンコーナー
                      手作り品(手芸、竹細工など) やさとの荘の物産展。
③サロンエリア…  いつでもお茶が飲める。ミーティングができる。宿泊できる。

ひとつの場所を重層的に使うことによって
!テナント料を分散できる
!人と情報の交差点が生まれる。開かれた場所となる。公共性をもつようになる。

 ショップはむろんのこと第一には「やさとの荘」の物産の販路として考えられている。私たちが作るモノはたいていどれも小作りで、一般流通には乗りにくい。一般流通は一定量で同質のものを常時用意する必要があるからだ。大量生産、大量消費が前提となっている。また仮に出荷できたとしても差別化された商品として店の片隅をかざるだけになってしまう。そこではモノの作品性、異物性は失われてしまう。「市」的な場所が求められるゆえんだが、そのような場所としてJAが各地に作っている直売所は往々にして掘り出し物市、あるいは安売り競争になっていて(ジイさん、バァさんたちが小遣い稼ぎになればいいという気分でどんどんダンピングするので)経営に見合わない。都市部の「○○マルシェ」のような場所は輸送コストと人的コストがかかりすぎてこれも採算がとれない。

 思いきって自分たちのショップをもてばそこは単にモノの販売センターというだけでなく、それでどのような料理ができるか(食い改め方)、どのような世界に通じているかを直接プレゼンする場になるし、売るものはモノではなく暮らし方であり生き方なのだというわかり易いメッセージとなるだろう。別の言い方をすればショップはよりナマの、都市に向かって開かれた表現媒体(メディア)として機能するはずだ。表現とは自分が何者であるか外に向かって、また自分自身に向けて問いかけることである。それはひるがえってやさとの荘を質的にレベルアップしていくことになる。そのようにして、ショップとやさとの荘は相互に刺激し合いながら向上していくことができる。田舎の荘園活動だけではそのような自己運動は発生しにくいのである。ショウウィンドーという言い方にはそんな意味が込められている。 S
by kurashilabo | 2014-01-12 14:57 | 鈴木ふみきのコラム