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「つながり」

今更ですが有機JAS認証という制度。
これまで生産者の自己申告的「無農薬有機」だったものに基準を設け、消費者にとっては分かりやすく、また生産者にとってもきちんと基準を守った生産者が公正に評価され、それをもって有機農産物を広めよう、というもの。

しかし、本当にそうだろうか?(物事は斜めから見ればいくらでも見られるので品のない発言は避けたいが。)こうした制度が「消費者-生産者」の関係の中で作られるとは考えにくい。私たちのような小規模の有機農家(やさとでも有機農家はみな家族単位が標準)と個人消費者や、生協などを結ぶ程度の話で、わざわざこうした制度を作る必要性はない。

言い方は悪いが、裏にもっと大きなものがある、と考えるのが普通である。有機食品関連の市場というのは4000億円とも言われ、その8割が輸入である。この制度が誰のためにあるのか、少し考えれば見えてきそうな気もする。それが証拠に(かは分からないが)いわゆる私たちのような有機農家はほとんど誰も認証を取っていない。取らなくても、消費者の方は僕たちがどのように野菜を作り育て、どういう思いを持っていて、どういう困難さがあるか、そういう理解の上につながっている。だから認証などを取る必要がないのである。(認証取得のための膨大な資料作成の手間や、使用が認められている薬もある、ということもあるかもしれないが。)

仮に「大規模有機農業」という言葉があるとしたら、なんと矛盾に満ちた言葉なのだろうと不審に感じるだろう。しかし有機JASこそ大規模有機農業には向いているのかもしれない。いわゆる「安全」というものにだけ目を向ければ理にかなっているからである。

しかし、例えばアメリカ産有機野菜と、裏のじいちゃんが苦労してやむ無く薬を使って育てた(事を僕が知っている)野菜があるなら自分は後者をとりたい。もはや安全とは言えなくなった今、これまで安全の影に遠慮がちに隠れていた「つながり」がより大切になってくるのではないかと感じる今日この頃。

イバ
by kurashilabo | 2011-04-30 18:29 | 週報からの抜粋